八正道は、はっしょうどうという名前の通り仏教における涅槃にたどり着くための八つの正しい道のことです。ここで述べられる正しい道というのは、ブッダが説いた教えにあっているもののことを指し、もちろん仏教の道からも外れていないもののことです。基本的に、仏教は人間が生涯でどのような行動をとることができればより正しい生き方ができるのかということを考えていきます。
ブッダの教えは、いつでもどこでも誰にでも当てはまるものであると考えられていて、それを実践的に定義したものが八正道です。
ブッダは、以下の4つの考え方を基本として説いています。まず、人生は思い通りに運ぶものではないという苦諦です。そして、その苦しみの原因は煩悩によって生じると考える集諦があり、さらにこの煩悩を消滅させることができれば安らかになるという滅諦という考えにたどり着きます。そしてこの安らかな境地、つまり涅槃となるために必要な道があるという道諦という考え方に行きつきます。八正道というのは、文字通りこの最後の涅槃にたどり着くために必要になる道のことを実践的に説いたものであるため、仏教徒になっては実践的にその境地にたどり着くために必要になるものです。
八正道は、具体的に八つの道がありますがその中身も詳細でわかりやすいものになっています。例えば、正見は物事を正しく見ることを説くもので、正思は正しく考えることです。その後に、正語と正業と続くのですが、これらは正しい言葉で語り、そして正しい行いをするということを説いています。つまり、仏教の教えに習って実践していくことを説いているので実は難しいことを言っているわけではないことがわかります。
後の4つも、全く同様です。正命と正精進は、正しく健全な生活を送ることを目的として、そのための正しい努力をすることが重要であると教えています。そして、正念はこれまでの6つの実践を基本としながらブッダの教えをきちんと心の中で留めておくというものです。最後の正定は、禅定と同義のことで精神統一を行うことによって瞑想を行い、安らかに涅槃に至るための努力を指します。
このように、八正道は仏教とブッダの基本的な考え方を軸としながらそれを実践的に捉えたもののことです。中身を見ていけば、実は日常生活の中にも十分に取り入れられる業であることがわかります。そのため、現代でも多くの人が修行という名目で実践しているという背景があります。