“仏教は約2千6百年ほど前にインドで誕生しました。いくつものルーツがあり、日本にやってきたルーツは朝鮮を経由して中国からです。インド北西部のヒンドゥークシ山脈を越えてシルクロードを通ってやってきました。北伝仏教と呼ばれています。中国にもたらされたのは紀元前後といわれており、当時シルクロードは東西を結ぶ重要な貿易路でした。インドから交易品を携えた商人だけではなく、僧たちが経典を携えて中国へ渡ることも多かったといいます。逆に仏典を学ぶために中国からインドへ訪れ、経典や教えを持って帰る僧たちもいました。
仏典が翻訳されるようになったのは西暦148年ごろでした。その後1000年をかけて経典翻訳が進められるようになります。インドでは国内事情によって原典が処分されて残っておらず、漢訳の経典が世界唯一の仏典となりました。なお、仏教が定着する4世紀ごろから中国の文化と混ざり合い、原典から変化していきます。
日本の歴史に登場するのは548年からで、百済王から釈迦像と経典を献じて信仰することを勧められました。その後、高句麗の高僧に教えを受けた聖徳太子が登場し、国教と定めたことで定着していきます。日本全国にお寺が建設され、地域で経営されるようになりました。
平安時代になると鎮護国家のために複数の寺院が建設されています。今まで法律によって規制されていた山岳修業が解禁になり、最澄や空海といった有名な僧が誕生しました。最澄によって天台宗が開かれ、空海によって真言宗が開かれています。山岳修業が解禁したことにより、神道との融合が図られ、日本独自の仏教へと変化したのもこの頃です。なお、当時は不動尊や観音信仰がとても盛んでした。
鎌倉時代には臨済宗と曹洞宗、浄土宗、浄土真宗などが伝わりました。法華経なども誕生しています。貴族から武士の時代に変化したことで、宗教も大きく変化していきました。
室町時代になって飢饉や戦争などが起こったことにより、無常感が世の中に蔓延するようになって、極楽浄土を願う気持ちが大衆に増えたといいます。その結果、多くの寺院が建築され、建築技術や造園術などに大きな影響をもたらしました。
戦国時代には織田信長によって焼き討ちなどが起こりましたが、秀吉の時代によって力を持ちすぎていた寺院は領地を取り上げられてしまいます。
江戸時代には天台宗や南禅寺の影響が幕府に多かったといいます。檀家制度が誕生し、現在に至っているのもこの時代からです。”