“日本人の多くは、無宗教だといわれていますが、実際には仏教が生活の中になじんでいる傾向が強いでしょう。例えば、家に仏壇があるのも、あるいはお墓参りをするのも仏教の影響を受けています。
仏教が起こったのは紀元前の時代になり、釈迦がインドで開いたとされています。その特徴を一つ述べるとすれば、絶対的な創造物としての神様は存在しないことです。勘違いしている人も多いですが、キリスト教やイスラム教などのように絶対的なひとりの神様がいるとは考えていません。
現在の日本では、葬式のときにお坊さんが来てお経をあげてくれます。これも、日本特有の形式の一つと言えるでしょう。ただ、日本に入ってきているものは釈迦の時代のものとは少し異なる点を理解しておくとよいでしょう。どのような点が違うかといえば、釈迦自体は、様々な決まりを厳しく定めており、その中ではお坊さんが葬式を上げることを否定しています。もともと、お葬式などするためにお坊さんがいた訳ではありません。
ところが、釈迦がなくなった後は、様々な疑問が生じた時にこれを明確に答えてくれる人がいなくなりました。今までは、様々な疑問を釈迦にぶつければ、必ず答えが返ってきました。ですが、釈迦がなくなってからはどのように解釈していいかわからないものが多く、あいまいな解釈をするようになった人と、かなり厳格な解釈をする人に分かれたわけです。あいまいな解釈をして少し決まりごとをゆるく考えようとした派閥を大乗といいます。決まりごとなども厳格に解釈しようとする一派は小乗と名乗りました。このように、中心的な指導者がいなくなるだけで、派閥などが分かれることがあり得ます。
では、日本に入ってきたのどちらかといえば、決まりごとを緩く解釈する大乗の方になります。ただ、現在の日本で考えられている仏教は、当時のものとは若干異なっているのが特徴です。なぜかといえば、日本には神道の考え方もあったからです。そして、中国から朝鮮半島を通じて仏教が入ってきたとされていますが、途中で中国で広まっていた儒教の教えなども混ざって入ってきました。そのため、釈迦が考えていたころと比べるとずいぶんと違ったものができあがったとされています。仏壇なども、もともとは釈迦の時代には必要ないとされていましたが、儒教が混ざることにより仏壇を置くことになりました。このように、日本流に解釈したものが現在お寺や葬儀場などで行われている形式になります。”